「最初にできたピーマンの実、そのまま育てるべき?それとも摘み取った方がいい?」
「株を充実させたいけれど、せっかくできた実も収穫したい…」
家庭菜園でピーマンを育て始めると、最初の花が咲いて小さな実がつく瞬間はとても嬉しいものです。
しかし、その「一番果」をどう扱うかで、その後の収穫量が大きく変わります。
この記事では、ピーマンの一番果を摘果すべきかどうかの判断基準と、株の元気を長持ちさせる方法をご紹介します。
秋まで長く収穫を楽しむためのヒントを、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも「一番果」ってどれ?
一番果とは、ピーマンの株で最初に咲いた花からできる実のことです。
一般的に、株の主枝の先端や、そのすぐ下の節(枝の分かれ目)に咲く花から育つ実を指します。
この一番果は、まだ株が小さく根もしっかり張っていない時期に形成されます。
株の成長初期につく実であるため、その扱い方が重要になってきます。
なぜ一番果を摘果するの?そのメリット
株の生育を優先させるため
ピーマンは植え付け直後、まだ根がしっかり張っていません。
この時期に実をつけると、限られた養分が実を作ることに使われてしまいます。
摘果することで、本来実に行くはずだった栄養を、葉や茎、根の成長に回せるようになります。
結果的に、丈夫な株に成長しやすくなるのです。
収穫量がアップする
最初に株をしっかり育てることで、その後の生育が旺盛になります。
茎が太く、葉が大きく育ち、花もたくさん咲くようになります。
一時的に最初の収穫は遅れますが、長い目で見ると実の総数が増える傾向があります。
また、わき芽(脇から出る新しい枝)の発生も促され、実をつける場所も増えていきます。
株の負担を軽くする
初期の負担を減らすことで、株が疲れにくくなります。
元気な株は病害虫への抵抗力も高く、長期間収穫を楽しめる可能性が高まります。
夏の暑さを乗り切り、秋まで元気に実をつけ続ける株づくりのための大切なステップです。
摘果しない方がいい場合もある?
一番果の摘果には多くのメリットがありますが、必ずしも必須ではありません。
以下のような場合は、摘果しない選択肢もあります。
苗が非常に元気な場合
植え付け時から葉が大きく青々として、茎もしっかりとしている場合は、一番果を育てる体力があるかもしれません。
根がしっかり張っている様子なら、そのまま育てても問題ないでしょう。
栽培期間が限られている場合
寒冷地など、栽培できる期間が短い地域では、少しでも早く収穫を始めたい気持ちもあるでしょう。
そのような場合は、一番果も大切に育てることを選ぶこともあります。
あえて樹勢を抑えたい場合
プランター栽培などで、あまり株が大きくなりすぎないよう調整したい場合もあります。
ただし、基本的には株の充実を優先する方がメリットが大きいことを覚えておきましょう。
摘果すべきかの判断基準
ではどうやって摘果するかしないかを判断すればよいのでしょうか。
以下の観察ポイントを参考にしてください。
株の生育状況をよく見る
摘果の判断で最も重要なのは、株の現在の状態です。
観察ポイント | 摘果推奨のサイン | 摘果不要のサイン |
---|---|---|
葉の枚数 | 本葉10~12枚以下 | 本葉がたくさんある |
葉の様子 | 色が薄い、小さい | 濃い緑色で大きい |
茎の状態 | 細く、弱々しい | 太くしっかりしている |
全体の印象 | 弱々しい | 生き生きとしている |
株全体を見て、「まだ実をならせるには早いかな」と感じる場合は、迷わず摘果しましょう。
植え付けからの日数
植え付けてから約2週間以内は、まだ根がしっかり活着していない時期です。
この期間に咲いた花からできる一番果は、摘果することをおすすめします。
品種による違い
パプリカなど大果系の品種は、実が大きく育つため株への負担が大きくなります。
そのため、通常のピーマンよりも摘果した方が良い場合が多いです。
栽培環境
プランター栽培は畑植えと比べて根の張る範囲が限られます。
限られた根域での栽培では、株の負担を考えて摘果する方が安全です。
一番果の摘果、どうやるの?
具体的な摘果の方法をご紹介します。
適切なタイミング
摘果のベストタイミングは、花が咲き終わり、実がまだ小さいうちです。
目安としては、実の長さが2~3cm程度までの間に行いましょう。
実が大きくなるほど、株の養分ロスが大きくなってしまいます。
用意するものと手順
- 清潔なハサミ
- 晴れた日の午前中に作業するのがベスト
摘果の手順
- 実の付け根(ヘタの少し上)をハサミで切り取る
- 周辺の茎や葉を傷つけないように注意する
- 切り口が乾きやすいよう、晴れた日の午前中に行う

摘果したら終わりじゃない!その後の管理
摘果は、その後の生育を促すための「スタート」にすぎません。
適切な管理でピーマンの株を元気に育てましょう。
追肥の開始
摘果をきっかけに、株の成長をサポートする追肥を始めるのがおすすめです。
株元から少し離れた場所に、パラパラと肥料をまきましょう。
量は肥料の製品表示に従い、与えすぎに注意します。
水やり
土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
特にプランター栽培では乾燥しやすいため、朝の涼しい時間帯の水やりを心がけます。
水分不足は実のつきを悪くする原因になります。
支柱立て
株が大きくなってきたら、支柱を立てて茎を誘引しましょう。
風で倒れるのを防ぎ、日当たりと風通しを良くする効果があります。
わき芽の調整
ピーマンは基本的に放任でも育ちますが、風通しを良くし、実に栄養を集中させるために整枝を行うこともあります。
一般的には、一番果のすぐ下から出る元気なわき芽2~3本を残して育てる「3本仕立て」などの方法があります。
ピーマンの育て方のポイント
- 水やりは土が乾いたらたっぷりと
- 肥料は株から少し離して与える
- 風通しを良くして病気を防ぐ
- 支柱を立てて株を支える
- 強い日差しには遮光対策も検討
まとめ
ピーマンの一番果は、株の状態をよく観察して摘果するかどうか判断しましょう。
葉が少なかったり、茎が細かったりと株がまだ小さい場合は、迷わず摘果して株の生育を優先させることが長期的に見て得策です。
摘果後は適切な水やりと追肥で株をサポートし、丈夫な株を育てることで秋まで長く収穫を楽しめます。
あなたのピーマンはどんな様子ですか?株の状態を見ながら判断してみてください。
元気なピーマンで、たくさんの収穫を楽しみましょう。